新しい世界を創り出す
創世のタイガの1巻を読んだ。
現代の大学生達が、突然別の世界に飛ばされる。そこにはとうに滅びたはずの巨大生物が跋扈している。つまり、ホモサピエンスがアフリカを出てネアンデルタール人の暮らす領域に入っていき衝突する時代に現代人が飛ばされたという設定だ。
タイムリープものは若干食傷気味だったのだが、この漫画のテーマはまさしく今「サピエンス全史」とか「人類の足跡10万年全史」を読んで興味を持った世界の話であり、彼ら、というか主人公のタイガがどのように生き抜くのか、目が離せない。
漫画の冒頭、洞窟の中でタイガらは壁画を見つける。その壁画には、大型の犬(狼?)と、槍を持った人、そして彼をあがめる人々が描かれている。大型で獰猛な野生動物と同じく危険極まりないネアンデルタール人がいる世界で、犬を味方につけることは大きな意味を持ったはずだ。そして、この壁画の中心にいる人物になるのがタイガなのだ、という宣言なのではないかと勝手に考えている。
この時代は、わずかに残された人骨、動物の化石、石器、壁画などから得た情報から世界観を構築するしかない。遺伝子の調査で次々と新たな事実がわかってきてはいるが、あとは想像で補うしかない。つまり、創作物の世界では、かなり大きな自由が広がっている。
そろそろ出るであろう2巻が楽しみでならない。タイガが次の世界を創る、その過程を堪能したい。
- 作者: スティーヴンオッペンハイマー,仲村明子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 単行本
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